富士の空色とチョウを表現
紙を素材にした作品の全国公募展「第17回紙のアートフェスティバル2025」(富士市主催、富士芸術村主管)の大賞展覧会が、富士市蓼原町のロゼシアター1階ふじ・紙のアートミュージアムで開かれている。大賞は大学院生の音舞里(ねむり)さん。「Fuji sky color & Butterfly」と題し、富士山に生息するチョウをモチーフとした鮮やかなインスタレーションで会場を彩っている。12月14日(日)まで。午前10時―午後6時。
紙のアートフェスティバルは、製紙産業が盛んな富士市ならではの芸術・文化イベントとして、平成21年に始まった。作品スケッチなどのプランを募集し、審査で大賞1人(1グループ)を選んだ上で、制作と展覧会につなげている。今回の応募は23点だった。
大賞の音舞里さんは東京藝術大美術学部デザイン科を卒業し、同大大学院美術研究科デザイン専攻に在籍。数々の公募展で受賞歴がある。
作品は、紙をチョウの形に切り抜き、透かし加工で羽の模様を入れて彩色した約3000枚が素材。テグスで結んだ11本の束をつるしており、富士山の上空などをイメージして山型に並べた。大きさは幅10㍍、縦2㍍、奥行き50㌢。
チョウは富士山麓に生息する11種類をモチーフに、半透明のクラフト用紙「シープスキン」をレーザーカッターで細密に加工した。色は日の出から日の入りまでの変化を表現したグラデーションでまとめ、空間全体をダイナミックに演出した。
このほど会場でアーティストトークが行われ、音舞里さんは「チョウの羽の重なりが何色もの柔らかな反射光をつくり、その色が紙の上で溶け合うことで、豊かな富士の空色を表現した」と語った。「昆虫、紙、富士山の自然など、これまでのアイデアがパズルのピースのように結び付いた」と着想し、イメージに合った紙探しに苦労したことなどを伝えた。

