富士山かぐや姫ミュージアム 浮世絵や版本で紹介
富士市伝法の富士山かぐや姫ミュージアムで、特集展示「曽我兄弟!」が開かれている。曽我兄弟のあだ討ちをはじめ、その舞台となった富士の巻狩り、そこに至るまでの源平合戦の経過について、江戸時代に発行された浮世絵版画や版本を中心に紹介している。
今から800年前に富士山の麓で起きた曽我兄弟のあだ討ち。源頼朝による富士の巻狩りが行われている中、曽我十郎祐成と五郎時致の兄弟が父のかたき工藤祐経を夜陰に紛れて討ち取った。
この出来事は「あだ討ちもの」の物語となって広まった。『曽我物語』は鎌倉時代から室町時代にかけて成立・発展し、物語から派生した能や幸若舞、浄瑠璃や歌舞伎は「曽我物」と呼ばれ人気を博した。
江戸時代には多様な浮世絵版画も出版され、富士山の南麓や西麓は、江戸の曽我ファンが〃聖地巡礼〃に訪れる観光地となった。
会場では、代表的な場面を描いた歌川広重の『曽我物語図会』や、兄弟が祐経を今にも討ち取ろうとしている場面を描いた歌川国芳の『建久四年五月廿八日曽我兄弟敵討之図』、漢字かな交じりで書かれた『曽我物語』の版本などを展示している。
富士の巻狩りについては、源頼朝と御家人、大イノシシを捕獲する仁田四郎忠常が描かれた浮世絵などを展示。源平合戦では、富士川の戦いで飛び交う無数の水鳥と混乱に陥り逃げ惑う平家軍がコミカルに描かれた浮世絵などを並べている。
会期は来年2月11日まで。月曜(祝休日は開館し、翌日が休館)と12月28日―1月3日は休館。
1月12日に博物館講座「はじめての曽我兄弟!~富士川合戦の話もあるよ~」を開く。源平合戦から曽我兄弟のあだ討ちまでの流れを学芸員が解説する。同ミュージアム(☎0545 213380)

