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ディアナ号来航8 唐人の根っこと錨
富士市五貫島の三四軒屋緑道公園の一角に、ディアナ号の錨がある。全長4メートルの大きな錨と並んでプチャーチンの提督像が、この地がディアナ号ゆかりの地であることを今に伝えている。三四軒屋の錨は、昭和51年8月に三四軒屋沖の海中から引き揚げられたものだ。

実はディアナ号の錨は、もう一つ戸田村立造船郷土資料博物館前にも存在する。戸田村の錨は、かつて富士市内に置かれていたものだ。三四軒屋緑道公園の錨の引き揚げに伴って、富士市から戸田村に寄贈されている。

これらディアナ号の錨をめぐり「唐人の根っこ」というエピソードがある。「唐人」とは、外国人を指す「毛唐人」から派生したとみられるが、「唐人の根っこ」という言葉は地元の漁師の間で、100年ほど恨みを込めて使われていた。

三四軒屋付近には、漁師が網を仕掛けると、必ずといって海中の障害物に引っかかり、網が破れてしまう難所があった。漁師たちはそれを「唐人の根っこ」と称した。

漁師たちは、この障害物を安政の大地震などの被害を受けて沈没したディアナ号の船体や錨か、あるいは明治になってこの付近に座礁した日本の軍艦清輝号のものであろうと思っていたという。

漁師たちは「唐人の根っこ」の除去を長年の願いとしていた。そして、その願いが実現する。

昭和29年に安心した漁業を行うため、田子の浦漁業協働組合が海中障害物の除去に乗り出した。その作業中に、三四軒屋沖約300メートルの地点で大きな錨が発見され、引き揚げられた。当時はディアナ号の錨と判明せず、田子浦小学校の東側に隣接する田子浦地区の忠霊廟に置かれた。

それから30年が経過し、ディアナ号の沈没に興味を持っていた清水市のダイバー望月昇氏によって、もう一つの大きな錨が発見され、引き揚げられる。

専門家らの調査によって引き揚げられた二つの大きな錨は、ディアナ号のものである判断された。

ディアナ号の2基の錨と判明したことによって、「ディアナ号そのものが海底にあるかもしれない」といった声があがり、昭和62年7月には「ディアナ号探査会」も立ち上げられた。

昭和63年6月に調査船で、三四軒屋沖から前田新田沖にかけての探査が行われたものの、ディアナ号は見つからず、探査会も翌年に解散した。

日露友好の礎(いしずえ)を築いたディアナ号。その船体は、まだ駿河湾に眠っているのだろうか。
(つづく)


[2005-01-17-17:34]
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