常葉大学富士キャンパス附属環境防災研究所は9日、富士市鮫島の旭化成富士支社内のビオトープ「あさひ・いのちの森」で黒メダカを放流した。
同研究所の副所長でもある山田辰美社会環境学部教授とゼミ生が約3年前に市内で採集し飼育してきた20匹。
約7年前にメダカを放流したが、川底まで酸素が行き届かなかったことや、池の水に工業用水を使用していたことなどが原因で育たなかったといい、旭化成富士支社では昨年11月に池の水を地下水に替えたことなどを踏まえ、再び放流することにした。
山田教授によると、富士市はメダカやカエル類、水生昆虫などの水生生物が豊かな地形を形成していたが、工業地帯化の振興や土地改良事業などにより、水辺の環境が劇的に変貌したという。
さらに下水道整備の遅れを補うために、衛生対策でメダカと似たカダヤシが放流されると勢力を拡大し、1990年代にはメダカに代わってカダヤシばかりが採取されるようになったという。
山田教授は「こうした状況を改善し、野生のメダカを復活させる必要がある」とし「そのためにはカダヤシの侵入の危険がない、ある程度まとまった面積が求められる。広大な旭化成のビオトープは、池や小川だけでなく湿地や田んぼもあり、メダカの増殖が期待できる」と話した。
2000匹に増殖することが目標で、引き続き、モニタリング調査に取り組んでいくという。